2007年10月05日

漫画『タッチ』にみる死亡交通事故における慰藉料の金額

★ 漫画『タッチ』にみる死亡交通事故における慰藉料の金額

あだち充の漫画に『タッチ』と言う作品があり、その作中にて準主役であった人物(上杉和也)が、交通事故によって死亡するという展開があります。

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なかなかに名シーンと言う事になっており、TVアニメ化された時のこのシーンは、今でも時折行われている。
『アニメ感動の名シーン100!』
とかいった類の番組に置いて、常に上位に入る名シーンとして紹介されております。
(ちなみに、この手の名シーンの上位常連は『アルプスの少女ハイジ』のクララが立ち上がったシーン、『フランダースの犬』でネロとパトラッシュが聖天するシーンだったりする)
んで自分が気になったのは、はたして死亡した上杉和也に対して、交通事故の慰謝料(正確には慰藉料)がいくらくらい支払われたかと言う事、これは自分が車に乗る仕事を以前にしていた事もあり、何となく気になった点だったりします。

そこで調べてみると……
交通事故、それも死亡事故に於ける慰藉料は定型化されていて、独身の男女、子供、無職の 68 歳以上の老齢者などの場合は 2000 万円ー 2200 万円位と言うことなので、未成年者であった上杉和也の場合は、2000 万円ー 2200 万円位が支払われたと推定されます。
ただし、この支払い金額は、上杉和也に非が無くて、事故を起こした車の方に100%の過失責任があったという場合の条件です。

作中に置いて、上杉和也が自己にあった状況は、漫画の画像として詳しくは描写されておりませんが、周囲の事故を見ていたらしい人物達の言葉から推測するに……

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『車道に飛び出した子供を救おうとして車にはねられた』
と言う状況だったと推測されます。
この場合ですと状況によって、支払われる金額に変動が出てくる可能性があります。
野次馬が上杉和也の事故を見ているようなシーンが、漫画の中にあるのですが、交差点などといった場所ではなく、交差点に近いガードレールのある場所と見受けられます。

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推定になるのですが、上杉和也は多分……ガードレールなどがある、交差点などではない場所、キチンと車道と歩道が区分された場所にて、道路上に飛び出した子供を助けようとして跳ねられた……と言うのが、事故の概要に思われます。

この場合ですと、交差点と言う歩行者優先の場所ではなく、自動車が優先の車道に突然に飛び出して、勝手に跳ねられた事故となり、加害者である自動車運転手の過失責任は、かなり軽減されるのではないかと思われます。
そして事故に遭った上杉和也なのですが、その死体状況を見る限り、肉体的な破損はほとんど無く、また兄である上杉達也も、その死体を指して……

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『たいしたキズもないのに、ただ、ちょっと打ち所が悪かっただけで…』
との発言もあり、加害者である自動車が、事故の時に出していたスピードも、かなりの低速(法定速度以内?)ではなかったかと思われます。

これらの事を考慮した場合、ドライバー側の過失責任は、かなり軽減される事となり、支払われた慰藉料は(事故の検分の結果として、保険審査などで過失割合が、5対5のイーブンと判断されたとして)半額程度ではなかったかと推定されます。

また漫画内に置いて、上杉和也を跳ねたドライバーの登場シーンがない事からみて、ドライバーが入っていたであろう保険会社に、事故の件を一任していたとも推定され、それが許される状況であったとしたのなら、やはりドライバーの法的な責任は、それほど問われなかったと思われます。

以上の事から上杉和也が交通事故によって死亡した時に、支払われた慰謝料は推定で……1000万円前後ではなかったかと推定されます。
(なお上杉和也自身にかけられていたであろう、各種の保険などの支払いは資料が見当たらないので割愛します)
こう見ると、意外に少ない金額のように思えます。

また法律的には、死亡事故を惹き起こしたドライバーは、その過失(不注意)の有無に関わらず、付加点数が加算され(不注意有・20点、不注意無・13点)それに基礎点数(事故の原因となった違反の点数)が加算されることになります。
(平成19年度の法律にてなので、タッチが連載されていた年代では、どうであったか不明)
その点数に対応して、免停・免許取消などの処分が行政から下され、同時にその事故の状況によって交通刑務所などに収監される場合もある。
(上杉和也が死亡に至った事故の場合、状況から見て交通刑務所などに収監されることは無かったと思われる)

ついでながら上杉和也が将来、野球選手として活躍した場合を推定して、慰謝料等の増額を申請するのは、地区大会で有望な選手として見られていたとはいえ、確たる実績がないこの時点では無理だと思われます。

と言う事なので、交通事故には歩行者もドライバーも、充分に気をつけましょう。

本日のニコニコ
エロテキストを書いている時に、BGM代わりにニコニコを流しているんですが、最近一番聞いているのが……これ!



アストロ球団は、漫画直撃世代だった事もあって、放送を毎回楽しみにみておりました。
(なんか『ジャイアントロボ』と異常にシンクロしてるな……)

と言うことで、今日はこれにて!
posted by 蛙雷 at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 古本話
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